人生90年が当たり前の時代となりました。現在、日本ではおよそ4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えています。定年退職後の生きがいの喪失、長期化する老後への経済的な不安、老老介護や孤立など、高齢化を取り巻く問題は山積しています。
さて美術の世界に目を転じると、著名な画家には長寿の方が多く、90歳を過ぎても旺盛な制作活動を行った作家は少なくありません。若い時から模索と挑戦を続け、挫折と成功を繰り返しながら、長く制作活動を続けることで到達する自由な表現の境地。その作品は、高齢になって毎日感動し、発見があり、夢中になって描き続けた画家の姿をも伝えています。喜びにあふれ、生き生きとした生命力を宿し、輝きを放つ作品からは、感動と元気、そして老いを生きる希望をもらえるに違いありません。年齢を重ねるということは、より精神的な深みを増すということでもあるのでしょう。それは決して芸術の世界のとこだけではないはずです。
本展では、明治期以降、現代までに活躍した日本画家、洋画家あわせて14人の超ご長寿の画家に焦点を当て、作家の個性が最初に表出した時期の作品や代表作に、90歳を過ぎてからの意欲的な作品をあわせ、その画業を紹介します。なお、本展は特に開催館が位置する愛知県や富山県をはじめとした中部地方に所縁のある作家を中心に構成しています。
さぁ、美術館からの提案です。老当益壮(老いてますます盛ん)の画人たちの絵と共に、いざゆかん!超高齢社会。