第七回「倶利伽羅古戦場」
富山県教育文化会館開館45周年を記念して上演される音楽朗読劇「凛音×天声」。
本作をよりいっそう楽しんでもらおうと、富山県文化振興財団と江嵜大兄がお送りする公演PR連載。
第七回目の今回は、平安末期最大の激戦地となった倶利伽羅古戦場をご案内します。
1183年、急速に勢力を拡大する木曽義仲に危機感を覚えた平家は義仲を討伐するため、平維盛(たいらのこれもり)を総大将とする総勢10万騎で北陸へと攻め入りました。
当初は数に勝る平家軍が次々と北陸地方を制圧していきますが、般若野の地で今井兼平が平家軍を押し返し、加賀と越中の国境にある倶利伽羅峠で両軍の睨み合いが続きました。
倶利伽羅峠の戦いを再現した陣地図です(出展:小矢部市HPパンフレット)
平家軍は別動隊が志雄山で戦っているため、7万騎。対する義仲軍は3万余騎。
圧倒的に不利な状況でした。その状況下で義仲たちはどのようにして戦い、勝利したのか──。戦の仔細については本編で語ろうと思いますが、この倶利伽羅峠の戦いで平家軍7万騎が一夜にして壊滅しました。平家を滅亡に追い込んだ戦の一つであるといっても過言ではないでしょう。
俱利伽羅峠には当時の面影を残し、静かな散策を楽しめる小道があります。
春には六千本の八重桜が咲き、多くの花見客で賑わうそうです。
そして、道を歩いて行くと、2体の火牛の像があります。以前ご紹介した「メルギューくん」と「メルモモちゃん」のモデルとなった火牛です。
ですが、私たちが訪れた3月は雪が降ることが多いため……
藁が被せられて雪対策がされていました。これはこれで少し面白いですね。
峠の展望台から見た景色です。
見晴らしはあまり良くないのですが、ここで歴史を変える戦があったのだと思うと感慨深いものがあります。
そして、倶利伽羅小道を石川県側へと下りていくと、高野山真言宗のお寺、倶利迦羅不動寺があります。
倶利迦羅とはインドの古典サンスクリット語の「kulikah」に由来するそうです。
「kulikah」とは、「具黒」を意味し、龍王の名前とされました。そして剣に黒龍が巻き付いた本尊の名前からこの地は倶利迦羅山と呼ばれるようになったそうです。
境内には巨大な剣のモニュメントがあります。
この朱塗りの五重塔は全ての諸仏諸菩薩を迎える塔で、中央に金剛界大日如来をお祀りし、塔内部には写経が納められているそうです。
倶利伽羅古戦場は山奥のためアクセスは良くないのですが、平安時代の面影が残る静謐な場所でした。歴史に興味のある方は一度訪れる価値のある場所だと思います。
音楽朗読劇 凛音×天声
脚本・演出 : 江嵜大兄
作曲・音楽監督 : furani
Cast : 小林親弘/能登麻美子/新垣樽助/勝 杏里
2019年11月24日(日)
開演15:00(開場14:30)
富山県教育文化会館 ホール
次回は、「凛音×天声」にも登場する義仲の史跡を巡ります。