第二回「巴御前」

 

富山県教育文化会館開館45周年を記念して上演される音楽朗読劇「凛音×天声」。

本作をよりいっそう楽しんでもらおうと、富山県文化振興財団と私、江嵜大兄がお送りする公演PR連載は今回で二回目となります。

 

今回ご紹介するのは、木曽義仲のパートナーといえばこの人! そう、巴御前です。

皆さんも巴御前の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか? 史上最強の女武将として抜群の知名度を誇る女性です。

 

その巴御前が初めて歴史に登場したのが、『平家物語』でした。物語上での巴御前は「強弓精兵、一人当千の兵なり」と、戦においては無類の強さを発揮し、「色白く、髪長く、容顔まことに優れたり」と、大変美しい女性だったと書かれています。

 

戦上手で、強くて、美しい。天は二物も三物も与えたわけです。そんな女性が義仲に仕えていたわけですから義仲も相当に魅力的な人物だったのでしょうか? もしくは、放っておけない母性本能をくすぐるような人物だったのでしょうか? 義仲の人物像を空想してみるのも面白いかもしれません。

 

巴御前は義仲四天王の今井兼平の妹であり、義仲とは木曽谷(長野県木曽郡)で幼い頃より共に育った幼馴染であるとされています。だからこそ三人の絆は強く。義仲最期の瞬間まで三人は共に過ごしました。長野県木曽郡木曽町にある徳音寺の境内には、義仲、巴御前、今井兼平のお墓が寄り添うようにひっそりと佇んでいます。

 

そしてお墓といえば、富山県にはなんと二か所も巴御前の墓碑が存在します。

 

 

 

まずひとつは、倶利伽羅古戦場近辺にあり、木々に囲まれた静謐な空間に墓碑が佇んでいます。

 

 

 

 

もうひとつは、富山県南砺市にあります。

 

 

この墓碑のすぐ隣には、樹齢750年を超えるとされる立派な一本松があります。

 

 

 

 

 

 

巴御前の足跡をたどってみて感じたことは、多くの人々が彼女の死を悼んでいたということです。巴御前の伝承と墓碑は日本各地に存在します。

 

粟津の戦いで敗れ去った後、巴御前は無事に逃げ延びてここで生きていたのだ。いや、義仲の死後はここで草庵を結び義仲の魂を弔いながら生きていたのだ。いやいや、落ち延びた後は源頼朝の命を受けて鎌倉武士の妻となったのだ……各地に残る巴御前の足跡にふれてみると、後世の人々の願いが聞こえてくるようです。彼女の生涯については未だによくわかっていませんが、昔も今も変わらずに愛される巴御前は素晴らしい人物だったに違いありません。

 

義仲同様、巴御前をイメージしたお菓子も販売されています。

 

 

隣にある「鳩八幡」というお菓子も義仲にゆかりがあるものです。

義仲は倶利伽羅峠の戦いに挑む前、埴生護国八幡宮にて戦勝を祈願する願文を祐筆の覚明に読み上げさせました。そのとき、三羽の白い鳩が飛び立ったというのです。鳩は神意をあらわす動物であり、その力を得た義仲は倶利伽羅峠の戦いで大勝利を得ました。

 

 

義仲の戦勝祈願図が保管されている埴生護国八幡宮については後日ご紹介したいと思います。

 

音楽朗読劇 凛音×天声

脚本・演出江嵜大兄

作曲・音楽監督 furani

Cast 小林親弘能登麻美子新垣樽助 杏里

20191124

開演1500開場1430

富山県教育文化会館 ホール

 

 

さて次回は、義仲四天王の一人であり、猛将、今井兼平をご紹介します。

 

 

 

第三回へ

ホームページへ